スポット溶接コントローラー




  1. スポット/連続 溶接機:


  高周波炉の実験で もう使わなくなった 電子レンジ用のトランス(約1.7kW)が余ったので、スポット溶接程度の 小電力の溶接機を作成してみた。


  (1) コントローラーの作成:

  トランスの 100VACの一次側で、100V交流を断続するための40Aトライアック・リレー(SSR、秋月キット)を用いて、一定の時間で断続して、スポット溶接に必要な電流を流すようにした。 断続時間の設定(10mS〜140mS)はPICの ADC機能で行ない、交流50Hzの 半波整流の山の数を N (=1〜14)として、VRで設定し、LCDに表示した。
  溶接の仕方は、銅円錐の対にこの2次電流を一定時間流すための 手押しプッシュSW(本当は足踏みスイッチが良かったが、高かったので、)を押すと、PICのINT入力に入り 設定された交流の山の数だけ 100Aの大電流を流す。 電流が流れる時は、100A程度、 100V交流電流で 15A程度になる。(100A電流計は中国製で、数Aほど低めに出る。重いシャント抵抗が付属している。)




       *  PIC プログラム:        lib_adc:



  (2) トランスの巻き直し と 溶接部の作成:

  45.1.で作った 電子レンジ(1.7kW)用のトランスが 余っていたので、これに φ2.0mmのポリエステル線2本束ねて、15回巻いて、ACで約13.3Vが出るようにした。 (もし巻き数が少なければ、200−300Aもの大電流になるので、クランプ式の電流計を用いる。) 取り付けたDC100A電流計は、後ろに大きなシャント抵抗を並列に取り付けている。(電流計はなくても良いが、電流の程度を測定するために付けた。)
  電極部は、プリント基板用の穴あけドリルの 保持器具を流用した(ポイントがずれない)が、蝶番を加工したものなど何でもよい。

  銅でできた 溶接錐電極の突合せの部分に、2枚のワークを挟んだ状態で、スタートスイッチを押して(or 足で踏んで) 条件出しした所定の時間 電流を流すと、2枚のワークの間に穴が開かない程度に溶接されてくっつく。 0.1mmtのステンレス薄板では、交流の波数10前後が良かった。 この時 瞬間的に、100A、 入力 AC100V・15Aで、少し火花が飛ぶ。

  ・ N=4で、DC50A、AC10A、スポット径 φ1mm、  N=12で、DC100A、AC15A、スポット径 φ2−3mm。

 



  (3) カーボンアーク・ロウ付け:

  切り替えSWによって連続運転に切り替え、カーボンアークにすることができる。(出力 DC30−100A、 入力AC10−15A)、カーボン棒を発熱させて ロウ付け程度に使うことができる。 この時、リアクタンスを入れる。 連続の場合は、電子レンジ・トランスの構造上、電流を流さなくても AC10A近く流れて トランスが発熱するので、なるべく電源を切るようにする。 このカーボンアークは ロウ付けに用いるだけで、パワーが少なすぎるので、溶接とまではいかない。

  


   (参考)

  * 小規模の鉄板の溶接程度ならば、上記のトランス2個直列(40V、 4kWの調光回路でトランス入力をコントロール)で うまくいくそうである。(YouTube) ただし日本の一般家庭での100Vではブレーカーが落ちる?

  * 12Vカーバッテリーを2つつなげて、高周波高電圧を重畳してアークを安定させる、高周波TIG溶接に準ずるものの製作例あり。バッテリーなので、充電の手間と時間がかかるが、電流値は十分である。(YouTube

  * 市販の家庭用のインバーター溶接機は、トランスがないだけ軽いが、ブレーカーがよく落ちてあまり実用的ではない。 インバーター溶接機の製作は、溶接棒とワークとの瞬間的な大電流に対し、IGBT等を壊さないための保護回路の入れ方が重要になってくる。





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